其ノ四十九 「折々の 喜怒哀楽は 忘れまじ」 2004年 4月21日(水) 其ノ五十 「街並が 浮き足立ちて 春は逝き」 2004年 4月22日(木) 其ノ五十一 「人の綾 やさしさこわさ 裏表」
この三日間何かに追われて過ごしてしまい、気持ちの整理が つかぬまま気がつけば、もう週末といった、ていたらくだった。 漫然と過ごした訳ではないが、異常に早い一週間であった。 いささかの反省を込めて三日間を振り返ってみる。 人質事件の余波を含んだまま迎えた今週、ニュースも様々な 様相で各局各新聞が次の局面を報じていた。 人々の心はいつしか、来たるべきゴールデンウィークへ思いを馳 せるようになり、今夏のオリンピックの最終選考会や大リーグ情報 その他様々なスポーツイベントなどのニュースに奪われ始めている。 人質事件に学んだ教訓は数多くあった筈だし、色々な喜怒哀 楽が僕たちの心を通り過ぎていった。 当事者である五人やその家族にとっては、深い傷跡を残したま まのゴールデンウィークであるだろうし、それはひょっとしたら永遠に 消え去る事が出来ない記憶であるだろう。 無責任にバッシング行為をした多くの人たちは、そんな事はおか まいなしにゴールデンウィークを迎えるのだろう。 一体彼らに何の権利があってそういった心ないバッシング行為を したのかは理解の出来ない事である。ただ単の弱い者いじめや、 愉快犯的な行為だとしたら決して許すことは出来ない暴挙である。 そしてこのことに対する怒りは決して忘れてはいけないことだ。 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」といったことのないように、したいも のである。「忘れる」という行為が、人間に与えられた、辛い記憶か ら免れて行く手段の一つだとしたら、この権利は被害者だけに与えら れたものだと思うのだ。 いずれにしても、被害者たちにとって一日も早い心の回復を願っ てやまない想いである。 街は気候の変化や待ち侘びている長期休暇に伴って、次第に 浮き足立ってきたかのようだ。この春社会に出たフレッシュマンたち にとっても、学生たちにとっても、一息つく絶好のタイミングなのだろう。 新歓○○、の類とかで若者たちの集団の塊が街並を闊歩している 季節、そうして春が逝き、いつのまにか夏が訪れてしまうのだ。 人は、記憶の渦巻の中で時を費やしてゆく。 それぞれにそれぞれの事情を背負いながら・・・・・。 そして、誰もが優しさと酷さを半々に持ちながら、生きているのかも しれない。 「思いやること」「助け合うこと」、それは人間にとってかけがえのない 心の営みであり、人間にだけ出来る心の技である。 生きとし生ける僕たちは、今一度、「生きること」の重さを心に問い 掛けて行かなければならないと思うのだ。
[←前へ][次へ→] [トップページへ]
©2002-2004 C-AUGMENT CO.,LTD All rights reserved.