2004年
4月16
日(金)

其ノ四十五
「風渡る 四月の空に 翁の夢」

 あり余る元気でエネルギッシュに人生を送られている やなせたかし先生は今、八十五歳。
 アンパンマンの生みの親である。
 そして今先生は作曲にも嵌られている。
そしてその熱がオリジナルミュージカル作りにまで及んでいる。
人間も八十五歳ともなれば、余生を悠々と生活するというのが ごく普通のことであるが、先生は違って、反って若い頃よりもタフ にいろいろと新しいことに挑戦されているようだ。
 「体はボロボロに老衰してるよ!」なんておっしゃりながら、ドンド ンと新しい取り組みをされている。本当に心から尊敬します。

 今日、その先生のミュージカル公演があった。
題して「赤ずきんちゃんと狼男」。
超満員のライブハウスが、三時間、笑いの渦に巻き込まれた。
勿論先生自身も要所要所で登場し歌とおしゃべりをされるのだが これがまた面白いのだ。リズムをはずしたり、歌詞を忘れてやり直し たり、全て演出のうちかもしれないと思いながら楽しんだ。

 二十年程前、今は亡き作家の遠藤周作さん率いる文芸人ば かりで作った劇団「樹座(キザ)」の音楽を頼まれたことがあった。
何度稽古をしても、一度として同じように芝居や歌をしない団員 を真剣に罵倒する遠藤さんの笑顔があった。
 勿論遠藤さんご自身の演技や歌は、全く出来ていないのだが、 そこのやりとりがとても微笑ましく羨ましく思えた若い自分がいた。

 やなせ先生の舞台も同じだ。
本当に先生自身が楽しんで、歌ったり演技をされているのが手に 取るように思えて、観客にとってはそこが魅力なのだと思う。

 世の中には沢山のお年寄りがいる。
会社を60歳で退職して、生きがいがなくなって急激に老いて行く 人が多いと聞く。
 気持ちの持ち様で、楽しい第二第三の人生を送ることは誰に でも可能なことだと思う。

 やなせ先生は、今眼も耳もかなり衰えておられるうえに内臓に 持病を抱えておられ、「コンチャン!ぼくは『爆弾』を背負っている よ!」と口癖のように言っておられるのだが、なんとなんと僕たち よりもはるかにエネルギッシュである。

 折角長く生きさせてもらっているのだから、みんなにやさしく、そ して楽しく生きていきたいと言って笑う先生はもう神様の域に入 っておられるようだ。

 本当に長生きしてくださいね!やなせ翁・・・・!!!

 「人生は短い
昨日の少年少女も   明日は爺さん婆さん
またたく間に過ぎてゆく  それなら楽しく生きよう
すべての人にやさしくて  やがて煙になって消えていくのさ
あーしょうがない
時の流れはかえらない
 あーあ ああああ あー
 ああああ あ あ あー」
(やなせたかし作詞 『ノスタル爺さん』より)

 

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