2004年
3月29日(月)
其ノ二十七
「あれやこれ 想い巡りて 春は逝き」
日々自分を振り返る習慣に慣れて、この頃は川柳にしたい ネタにも色々と悩むようになってきた。
幾つになっても悩みは尽きないもので、毎日色んな事を次々と あれこれ考える自分がいる。
そうこうしているうちにも時は過ぎ、季節は巡り、確実に歳を 取って行くのが人間である。
しかし反面、一向に悩みは雨後のたけのこのように湧いてきて なくなっていかないのは何故だろうか?
二十歳の春、生まれて初めて手相を池袋街頭の易者に観て もらったことがある。観てもらったというよりも悩んだ顔をしてボーっと 歩いていた僕を呼び止めて、半ば強引に手相を観ようとしてくれた のが易者さんだった、というのが正確かもしれないがその時、「あなた は百二十歳まで生きるよ!」といきなり言われたのだった。
「二十歳でこんなに悩みがあるのに後百年どうすればいいのですか?」 と思わず聞いた自分がいて、その時は本当に気が遠くなる位の年齢 を言われた感じで、途方に暮れた気分だったのを憶えている。
しかし、易者は一刀両断に、「百年なんてあっという間よ!」といって 笑ったのだった。
その後その事はずーっと憶えていて、悩みと出くわすたびに思い出して いるのだけれど、「本当にあっという間なんだろうか?」と思ってしまう。
しばらくして、その年老いた易者さんが亡くなられたことを街のタウン誌 で知った。かなり著名な名物の易者さんだったらしい。
それにしてもその不思議な出会いは、今でも一体何だったんだろうと 思うこともある。 きっと世界中の悩みを一人で背負っているような、 ひよっこ野郎に見えたのかもしれないと思う。
でも有り難いことに、以降、自分は百二十歳まで生きることを信じて いるお陰で、病気やケガや事故から免れている。
人間は本当に気の持ち方一つで変わるものである。
「悩み」も生きている証しで、いい付き合いをしている感じでもあるから 不思議だ。
今年、あれから三十一回目の春を逝かせることになる。
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