2004年
3月26日(金)
其ノ二十四
「Nステが 残したモノは 名残米」
今日で十八年半続いたニュースステーションが終った。
久米宏の、楽しそうな、寂しそうな、得意そうな、自嘲気な さっぱりしたような、心残りがあるような、不思議な顔で幕を 閉じた。
日本の茶の間にニュースの面白さや、ニュースによる議論を もたらした、最初の番組だったように思う。
ノンフィクションのジャンルにこそ考えるヒントがあり、語り合う ヒントがある事を教えてくれた番組が一つ消えて行った。
十八年半の間に時代も大きく変化したし、予想もつかない ような事件・出来事が数え切れないくらいあった。
大きな事件が起こると、Nステの久米宏は何をどう語るのか と思いながらチャンネルを10に合わせたことも少なくない。
そういう意味でも一つの基準だったとも言えた番組である。 新聞では読み取れないこと、NHKのニュースでは分からない 考えるヒントがこの番組には溢れていたと思う。
事実は一つだけど、真実は一つではない事を教えてくれた のもこのNステだったかもしれない。
僕は取り立てて久米宏のファンではないし、嫌いでもなく、 ただブラウン管で彼なりの本音を覗かせる彼のスタンスが好き だった。沢山の苦情非難中傷も絶えなかったと聞くが、最後 まで日和ることなく自分のスタンスを貫いた久米宏に拍手を 贈りたいと思う。
ジャーナリストやコメンテーターは常に自分に正直であって欲し いと思う。民衆に共感を求めるのではなく、民衆の批判精神を 刺激させて、より熟慮するきっかけを作る役割を持っているので はないだろうか。
Nステがなくなることには諸説紛々であるが、Nステが社会に残 した功績は大きい。
新聞の夕刊をやめた所帯も多いと聞く。なぜならNステを見るこ とが夕刊以上の効果になり、しかも分かりやすく今を説いてくれる からだと言っていた人がいた。なるほど、とも思う。
今は情報がどこからも入手しやすくなって、その取捨選択こそが 人それぞれの生活の知恵ともいえよう。 十八年以上も続いたこの番組は間違いなく本物だったと思う。 だからこそ残念だし、何か後味が悪い気もしてしまう。
結局はNステが残したものは、本音を言い続けてきた久米宏の 悔しさと心残りだったのかもしれない、と僕は思うのだ。
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