2004年
3月16日(火)
其ノ十四
「潔し 敗者の弁に 神も笑み 」
アテネ五輪のマラソン代表選考発表が一夜明けた後も、 高橋尚子選手落選の波紋が、ひっきりなしに報道されて いた今日一日だった。
選考過程や選考経緯には、様々な想いもあるし、選考 基準にすっきりしない何かが潜んでいるような気がしてなら ないが、結果は結果なのだからどうすることもできないのだ と思う。
結局は、彼女が選ばれても選ばれなくても様々物議を醸 した事は間違いなかっただろうと確信するわけだ。
ところで、昨夜報道された敗者高橋尚子の記者会見を 憶えているだろうか?
それにしても見事なまでの爽やかさに、驚いたファンも多か ったのではないだろうか。
自ら名古屋大会不出場を決断し、全てを天命に委ねた 彼女は、その時を静かに待っていたのだと思う。 そして落選の報を知り、アテネでは走れない自分の運命を 自分自身に静かに言い聞かせた彼女が、既にあの壇上に はいたのだと思うのだ。 31歳にして己が己以上ではない事に対する確固たる確信 を知り得ている『高橋尚子』、本当に彼女はただものではな いと思うのである。 話す言葉の一つ一つに驕りのかけらもなく、さりとて卑屈な 香りを探すことも出来ないくらいに完璧な敗者の弁、心から 拍手を贈りたい気持ちだ。 選考された、野口、土佐、坂本の三選手も、彼女の記者 会見を聞いて、彼女の分まで絶対に頑張るんだと心に誓っ たに違いないと思うのである。 メダルの取れる選手を選ぶといった荒唐無稽な選考基準が 項目にあったが、選出した各選手にメダルの取れる環境を 作ってあげる事が最も大事な事だと思うのだ。 そして、無念にも落選してしまった日本のエース『高橋尚子』 が自ら、いみじくも、選出された他の三選手にメダルを取れる 環境を与えてあげたのではないだろうか。 全てが神の手で演出されたような今回の選考劇ではあったが、 『高橋尚子』はこの屈辱をバネに、マラソンに精進し、更にもっと 大きなランナーになってくれるだろうし、野口、土佐、坂本の 三選手は、きっとアテネで見事ワンツースリーで、メダルを日本 に独占してくれるような気がしてならないのだ。 今度こそは、神が、試練ではなくご褒美をくれるような、そんな アテネの夏が訪れてくれる事を期待してやまない。 Qちゃんありがとう!
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